「先生、倒れています!」~その感覚、本当に信じて大丈夫?~
- AI IMAI

- 6月10日
- 読了時間: 3分
更新日:6月14日
レッスン中によくある会話です。
私:「では、股関節から折ってみましょう。」
生徒さん:「はい。」(やってみる)
生徒さん:「うわっ!」
私:「どうしました?」
生徒さん:「前に倒れすぎです!」
私:「いえ、倒れていません。」
生徒さん:「いやいやいや、前のめりです!!」
私:「前のめりでもありません。」
生徒さん:「へっぴり腰です!!」
私:「へっぴり腰でもありません。」
生徒さん:「絶対なってます!!」
私:「絶対なっていません。」
生徒さん:「怖いです!!」
私:「普通です😊」
ほとんどコントです。
ですが、生徒さんは本気です。
本当に前に倒れすぎているように感じています。
本当に前のめりになっているように感じています。
本当にへっぴり腰になっているように感じています。
では実際はどうでしょう。
鏡を見ます。
普通です。
動画を見ます。
普通です。
写真を見ます。
普通です。
それでも生徒さんは言います。
「でも、前に倒れている気がするんです。」
ここがアレクサンダーテクニークの面白いところです。
私たちは普段、自分の感覚を信じています。
むしろ、自分の感覚以外に頼るものはないと思っています。
ですが、その感覚そのものが長年の癖によって作られているとしたらどうでしょう。
例えば、長い間後ろに残る立ち方をしてきた人は、少し真ん中に戻っただけで、
「前に行きすぎです!」
と感じます。
長い間首を前に出していた人は、頭が本来の位置に近づいただけで、
「後ろに倒れそうです!」
と感じます。
つまり、
正しい状態が気持ち悪く感じる。
ということが起きるのです。
アレクサンダーテクニークでは、これを
ずさんな感覚認識(Faulty Sensory Appreciation)
と呼びます。
少し怖い話ですよね。
私たちは、自分の感覚は正しいと思っています。
でも実際には、
「普通だと思っていたこと」が癖で、
「変だと思ったこと」の方が自然な状態だった、
ということがよくあります。
だからレッスンでは、生徒さんからこんな言葉をよく聞きます。
「先生、本当にこれでいいんですか?」
私は答えます。
「大丈夫です。」
すると数ヶ月後、今度は生徒さんの方が言うのです。
「あれ?前の立ち方の方が気持ち悪いです。」
人間の感覚は不思議です。
信じていた感覚が間違っていて、
気持ち悪いと感じる方が正しかったりする。
だから私は、生徒さんの感覚を否定することはしません。
その感覚は本当にそう感じているのですから。
ただ、こうお伝えします。
「その感覚、本当に信じて大丈夫ですか?」
アレクサンダーテクニークは、自分の感覚を疑うところからが、スタートです!



コメント